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伝小野道風筆 本阿弥切

紙本墨書 一幅:平安時代 11?12世紀
伝小野道風筆 本阿弥切
16.2×15.3cm

 「古今和歌集」を書写した巻物の断簡である。現存する断簡の様子から、もとは20巻を書写したと考えられる。本品は巻第10「物名」467、468番の和歌の部分。現在は50点ほどの断簡と零巻(不完全な形で残る巻物)が遺っている。
 料紙は中国製の唐紙で胡粉を引いた、いわゆる具引地に雲母で、夾竹桃や菱唐草、雲鶴文様を刷り出している。本紙は雲鶴文様の縹色の具引紙で剥落が少なく状態が良い。
 伝称筆者は小野道風とされるが真筆とは言えず、道風の時代(900年頃)より2世紀近く後の書写と考えられる。文字は丸みを帯び小粒であるが、リズミカルに回転して筆力がしっかりしている。同書風の古筆切は無い。系統としては関戸本古今集、寸松庵色紙に属し、文字の間隔が詰まっているために相違を感じるが、字形や筆遣いに共通点が多い。
 名称の由来は、安土桃山時代から江戸時代の始めに活躍した能書で、数寄者であった本阿弥光悦(1558~1637)が一部を所蔵していたことに因む。本阿弥光悦は「寛永の三筆」と称され光悦流の祖と呼ばれる。